芸術祭III オープニングセミナー

「想像の身体と想像の共同体」

日時:平成27年7月12日(日)13:00-15:15

場所:大阪大学中之島センター 講義室406

講師:カイ・ファン・アイケルス(ベルリン自由大学客員教授)

通訳:伊藤拓 ※英⇔日逐次通訳

 

私は自分の体について何を知っているのだろう。生物学、医学の情報の断片が、自分の生活習慣から蓄積されてきた実践的ノウハウ(中には誤った習慣から生みだされた思い込みも含まれるかも知れない)と、多かれ少なかれ隣り合わせている。“身体”はそのように空で、何かに満たされるべき場所でありつづける。というのも、私の行為と体験の基盤であるそれは、同時に(自身にとっての)盲点だからだ。

いわゆるソーマティックがこの空の場所を満たす。ボディー・マインド・センタリング(BMC)、フェルデンクライス、イデオキネシス、アレキサンダー・テクニーク、クライン・テクニックといった身体技術は、身体のイメージを構築し、これらイメージが身体の現実に影響を及ぼすような練習方法を開発してきた。

似たようなことが社会的地平でも起こっている。自分の国、都市、地域のほとんどの人々と私は本当の意味で知り合うことはない。なのに共同体のイメージは、他者と私の間の結びつきというものが存在するという想念をかき立てる。

このセミナーでは、いくつかの実践的エクササイズを手助けに、様々な身体をめぐる想像力の作用を、個々の身体、また複数の身体からなる集団との関連においてリサーチします。そこでの探求は、私達の生と共生が備えるフィジカルな側面に対する、想像力の役割と批判的に向き合うことを促すものとなるでしょう。